イスラエルの科学者(ソルボンヌ大学で博士号を取得)であり、ヨーロッパ初の柔道黒帯保持者であるモーシェ・フェルデンクライス博士が開発した身体教育法です。
スポーツや武道に優れていたフェルデンクライス博士は、1930年代の医療では治癒不可能といわれた博士自身の膝の故障を治したことから研究を重ね、解剖学、生理学、神経生理学、運動科学、進化論、発達学、サイバネティックス、心理学、言語学など様々な知識、実験や実践の上、メソッドを開発しました。
ゆっくり、やさしく、小さな動きをすることにより、余分な緊張や自分のしていることや癖に気づく「学び」のプロセスです。
神経系に直接、働きかけるので新しい神経回路が開かれます。
このメソッドは1930年代後半に開発されましたが、脳の可塑性が実証されている現在の脳科学を先取りした、画期的な身体教育法だといえます。
欧米では音楽家、芸術家によく知られており、有名な芸術大学のカリキュラムに組まれていたり、またトップアスリートが実践しています。
パフォーマーやアスリートのみならず、理学療法士など医療関係者の間でも患者、施術者ともに実践されていますが治療ではなく教育と位置づけられています。
フェルデンクライス博士(1904-1984)
レッスンはグループレッスンと個人レッスンの2種類があります。
グループレッスンは、プラクティショナーがお手本を見せずに言葉による指示だけでクライアントは体を動かします。「動きを通して気づくレッスン」(通称:ATM エーティーエム)と呼ばれています。
個人レッスンは、一対一でプラクティショナーが軽いタッチでクライアントに動きを提案します。「機能的統合レッスン」(通称:FI エフアイ)と呼ばれています。
個人差がありますが、レッスンをして次のような報告が多数あげられています。
(効果)心身の健康、ストレスコントロール、リラックス効果、アンチエイジング、リハビリ効果、肩こり、腰痛、頭痛の緩和など。
(便益)精神の安定 ➡うつ予防
コミュニケーションの向上 ➡人間関係の円滑化
危機管理能力の向上 ➡事故防止
パフォーマンスの向上 ➡仕事の質や量の改善
姿勢や外観の改善 ➡サービス効果など
下の写真はグループレッスン(ATMレッスン)。重力の抵抗を少なくするため床に寝た状態ですることが多いが座位や立位でのレッスンも可能。